歯科医師・歯科衛生士からひとこと
- 2022年6月掲載(歯と口の健康週間)
- 2022年4月掲載(口臭について)
- 2022年2月掲載(歯みがきの大切さ)
- 2021年12月掲載(良い姿勢で整った歯並びを!)
- 2021年10月掲載(噛むこととスポーツって関係あるの?)
- 2021年8月掲載(一口、何回噛みますか?)
- 2021年6月掲載(歯ブラシの交換時期は?)
- 2021年4月掲載(口や歯に関する故事やことわざ)
- 2021年2月掲載(コロナ禍でもひと工夫。職場や学校で歯みがきをしたい!)
- 2020年12月掲載(抜けた乳歯、どうしますか?)
- 2020年10月掲載(「食育」を取り巻く環境の変化)
- 2020年8月掲載(「正しい舌の位置」知っていますか?)
- 2020年6月掲載(フッ化物配合歯みがき剤の効果的な使い方)
- 2020年4月掲載(オーラルフレイル)
- 2020年2月掲載(口元に注目してみましょう)
2022年6月(歯科衛生士からひとこと)
「歯と口の健康週間」
6月4日から6月10日は「歯と口の健康週間」です。
「歯と口の健康週間」は歯科衛生の普及啓発運動として1928年6月4日に「むし歯予防デー」の名称で行われたのに始まり、以後、1949年から週間行事となりました。1952年には6月4日から10日までの1週間に定められ、1958年より「歯の衛生週間」として毎年実施、2013年より「歯と口の健康週間」と名称を変更して現在に至ります。
毎年コンクール(小・中学生対象)により標語が決まり、令和4年度は「いただきます 人生100年 歯と共に」となりました。この標語のように、生涯、自分の歯で美味しく食事ができるよう、毎日のお口のケアには気を配りたいものです。
また、この6月頃に学校、幼稚園、保育所等では歯科検診が実施されることが多いかと思います。名古屋市でも、6月頃に40歳・45歳・50歳・55歳・60歳・65歳・70歳・75歳・80歳(4月1日時点の年齢)の市民の方に歯周疾患検診無料クーポンの送付を予定しています。(10月1日より、4月1日時点で20歳・25歳・30歳・35歳の市民の方も対象となります。無料クーポンは9月頃に送付予定です。)
この機会に歯科検診を受診するなど、ご自身の歯と口の健康管理を見直してみてはいかがでしょうか。
2022年4月(歯科衛生士からひとこと)
「口臭について」
新しい年度が始まり、新入生や新社会人、「新」とつく方々は緊張の日々ではないでしょうか?
新○○とつかなくても、環境が変わった方、以前まではそれほど気にならなかった口臭が気になってきたという方はいらっしゃいませんか?
緊張やストレスにより、唾液が減ることで、お口の粘膜が乾燥するとより口臭は強くなります。
人と話すとき口臭が気になると思いますが、マスクをしていると、ついつい気が緩みがちになっていませんか?
日頃から口臭を少なくするためにお口のケアが重要です。
歯みがきを中心にデンタルフロスや歯間ブラシを使用しましょう!
歯と同様に舌のケアも大切です。舌の汚れを取るために舌ブラシを使用しましょう!
また、むし歯や歯周病は口臭の原因です。早めに治療することが必要です。
その後は、半年に1回は定期健診と合わせてお口のクリーニングもしましょう。
マスクをしなくてもいい生活になった時、口臭を気にせず話ができるように、日々気をつけていきましょう。
2022年2月(歯科衛生士からひとこと)
歯みがきの大切さ
みなさんは、どうして歯みがきをするのでしょう。「むし歯や歯周病を予防するため」、「なんとなく」、「毎日の習慣だから」、「歯をみがくとすっきりして気持ちがいいから」人によって、毎日の歯みがきの理由は様々かもしれません。
なんとなく毎日の習慣で続けているかもしれませんが、私たちの健康を維持するためにはとても大切な役割を果たしています。
私たちの口の中には約700種類の細菌がいますが、常に唾液が分泌されて、細菌が増えすぎないように洗い流す作用(自浄作用)が行われています。しかし、歯と歯の間や歯の溝、歯と歯肉の間などの口の中の狭い場所にたまった汚れ(細菌)は、唾液の流れが行き届きにくいため、歯みがきできれいにすることが大切になります。
歯ブラシだけでうまくみがけない場合には、歯間ブラシやデンタルフロスを使用するほか、フッ化物配合歯みがき剤を活用しむし歯を予防しましょう。
また、昼食後の歯みがきで口の中をさっぱりし気分を切り替えて午後の活動に入ることや、寝る前の歯みがきで一日のクールダウンをはかることなど、歯みがきは日常生活にメリハリをつける役割も果たしています。
近年、多様な味やみがき心地のする歯みがき剤なども市販されています。自分のお気に入りの歯みがき剤などを見つけて歯みがきを楽しんでみてはいかがでしょうか。
2021年12月(歯科衛生士からひとこと)
良い姿勢で整った歯並びを!
唇や頬が外側から押す力と舌が内側から押す力のつり合った所にU字型の歯並びができます。ですから、どちらかの力が強いと歯は弱い方へ傾いたり、移動して、整ったU字型にはなりません。
例えば、ずっと口を開いていると、唇より舌で押す力が強くなり、前歯が唇側に押されて出てしまいます。指しゃぶりや下唇を噛む癖なども押し合う力に差ができるため、注意が必要です。
人は寝たままでも飲んだり食べたりできますが、できるだけ起きて背筋をピンと伸ばして食べましょう。良い姿勢で食べると、唇、頬、歯、アゴ、ノドが十分に働き、お口の働きや身体が元気に育ちます。しかし、猫背で食べると下アゴが前にずれ、奥歯で噛みにくくなり、唇や頬、舌など筋力のバランスが崩れ、歯並びに影響します。
また、口呼吸は、舌が本来の位置より低くなり、上アゴが狭くなります。口を開いてクチャクチャ音がする食べ方も唇より頬が横から歯を押す力が強いため、歯列が狭い状態になり、奥歯で十分に噛めなくなります。奥歯の噛み合わせが不安定になると姿勢も悪くなることがあります。
良い姿勢で食べることは、整った歯並びを作ります。お口の働きを育てる食べ方は、唇を閉じて奥歯でよく噛み、下アゴを少し引いて唇を閉じ、舌全体を上アゴに密着させて『ゴックン』と飲み込みます。おとなの歯が生え始める就学前までに、良い姿勢でお口を育てる食べ方を身につけたいものです。
2021年10月(歯科衛生士からひとこと)
「噛むこととスポーツって関係あるの?」
新型コロナウイルス感染症が蔓延するなか「東京オリンピック・パラリンピック」が大きなトラブルもなく閉会しました。努力の結晶であるアスリートのパフォーマンスに感動し、喜びや悔しさの涙に心を動かされた方も多かったことでしょう。
アスリートのパフォーマンスの向上には主に3つの観点から「噛むこと」が大きく関係しているといわれています。
- 1.筋力アップ
- 重いものを持ち上げる時など、グッと力を入れようとすると自然に口の周りにも力が入っていませんか?歯を噛みしめることで筋力が4から6%程度アップすることもあるといわれています。わずかな違いですが、アスリートにとっては勝つか負けるかの大きな差になります。
- 2.重心、姿勢の安定効果
- 上下の歯でしっかり噛めている場合と、かみ合わせが悪い場合とでは重心動揺(直立した場合のふらつきなど)に違いがあり、かみ合わせが悪いと重心がブレやすいことがわかっています。特に奥歯でしっかり噛むことで首にある筋肉(胸鎖乳突筋)に力が入り、首が安定することで体が動かしやすくなるといわれています。
- 3.集中力と判断力の向上
- しっかり噛むことで認知機能をつかさどる前頭前野の血流がよくなり、集中力と判断力が高められます。
オリンピックの影響を受けてスポーツを始められた皆さん、歯や歯ぐきを健康に保ち、日頃からしっかりかんで食べ、咀嚼筋を鍛えて運動パフォーマンスを向上させましょう。
(参考:噛むこと研究室より)
2021年8月(歯科衛生士からひとこと)
一口、何回噛みますか?
このように聞かれて、すぐに「〇回!」と答えられる方はいますか?おそらく、ほとんどの方が答えることはできないでしょう。それほど、食事において「噛む」という行為は自然なことであり、あまり意識をせず行っています。しかし、この「噛む」という行為、実はとても大切な作業なのです。
「噛む」作業、いわゆる咀しゃくは、お口の中に取り込んだ食べ物を細かく砕き、唾液と混ぜ合わせることで次の段階の「飲み込み(嚥下)」をしやすくします。また、よく噛むことは脳への刺激にもつながり認知症予防や肥満防止にもなるといわれています。厚生労働省では、一口に30回以上噛むことを目標とした「噛ミング30(カミングサンマル)」という運動を提唱しています。
また、意識してしっかりと噛むだけでなく、乳幼児期からお口の機能を育むことが重要になってきます。食べやすいようにと食材を細かくしたり軟らかくしたりした食事を中心にすると、十分な咀しゃくを得られません。乳幼児期の食事は、調理方法を工夫して手づかみ食べやかじり取りといった作業を取り入れて噛む習慣を身につけていきましょう。
このコロナ禍において食事の場面では黙食が推奨されていますが、この機会によく噛んで食べることを意識し、食事をしてみてはいかがでしょうか。
2021年6月(歯科衛生士からひとこと)
歯ブラシの交換時期は?
今お使いの歯ブラシはどのくらいの期間使用していますか?歯ブラシの交換時期の目安は約1カ月と言われています。歯ブラシは毛の弾力を使って、歯にこびりついた汚れやプラークを落とすため、毛が広がってきたりコシがなくなってくると汚れを落とす能力が下がってしまいます。また、歯肉を傷つけてしまう可能性もあります。定期的に歯ブラシを交換することをおすすめします!
また、歯ブラシ使用後は
1.しっかり水洗いし、歯ブラシの根元に歯みがき粉や食べかすが残っていないか確認しましょう
2.しっかり乾燥させてください。
小さなお子さんの場合は、歯ブラシを噛んでしまいすぐに毛先が開いてしまうと思います。その度に変えていくのは大変なので、自分みがき用とは別に保護者の方が使う仕上げみがき用も準備して、仕上げみがき用はいつも毛の整ったものを使って汚れを落としてあげましょう。
毎日お口の中に入れるものなので、常に清潔な歯ブラシを使ってお口の健康を保ちましょう!
2021年4月(歯科医師からひとこと)
口や歯に関する故事やことわざ
失言や不適切な行動を戒めたり、人の仕草や感情を表現する「ことば」があります。
このなかで、口や歯に関するものをあげてみました。シッカリ噛むことや健康な口や歯で活き活きとした毎日を過ごすことの大切さがみえてくるのもあります。
- 1.あいた口へ牡丹餅・あいた口へ餅
- (思いがけぬ幸運のめぐりくることのたとえ)
- 2.あいた口が塞がらぬ
- (あきれかえるさま)
- 3.奥歯に衣着せる
- (事実をありのままに言わずに、どこか思わせぶりに言う)
- 4.奥歯に剣
- (敵意を隠して表面に表さぬこと)
- 5.奥歯に物が挟まる
- (十分に心が打ち解けないで、思うことを素直に言い切らぬ感じを表す語)
- 6.親の奥歯で噛む子は他人が前歯で噛む
- (親が子をかわいがりすぎて必要な時に叱らぬと、その反面に他人からひどく叱られること)
- 7.親の脛齧る息子の歯の白さ
- (独立することができず親のおかげで生活する人が、かえって身なりを小奇麗に飾って遊び暮らす例が多いこと)
- 8.噛ませて呑む
- (人にかみくだかせた物を呑むことから、骨折らずに功をなすことのたとえ)
- 9.噛んで吐き出したよう
- (そっけなく言うさま)
- 10.噛んで含める
- (十分に理解するように言い聞かす)
- 11.食うか食われるか
- (相手を倒すか相手に倒されるか、命がけの争いにいう)
- 12.食うや食わず
- (甚だしく貧乏して生計の苦しいさま)
- 13.食ってかかる
- (激しい口調で反抗する)
- 14.口が掛かる
- (芸人などが客から招かれる)
- 15.口が過ぎる
- (失礼なことを言う、言葉がすぎる)
- 16.口が塞がらぬ
- (あきれてものが言えないさまにいう)
- 17.口が減らない
- (口が達者である、へらず口をきく)
- 18.口から先に生まれる
- (口の達者な者や、お喋りの者)
- 19.口に合う
- (飲食の好みに合う)
- 20.口は禍のもと
- (うっかり吐いた言葉から禍を招くことがあるから、言葉を慎むべきである)
- 21.口も八丁 手も八丁
- (喋ることもすることも達者なことをいう)
- 22.口を利く
- (ものを言う、とりなす、紹介する)
- 23.口を切る
- (最初に発言する)
- 24.口を拭う
- (知っているのに知らぬふりをする)
- 25.口を割る
- (包み隠していたことを白状する)
- 26.尚歯【しょうし】
- (高齢者を尊ぶこと)
- 27.歯が浮く
- (歯の根がゆるむ、軽薄・気障な言行を見聞きして不快になる)
- 28.歯がたたぬ
- (硬くて噛むことができない、相手が強くて対抗できない)
- 29.歯に衣着せぬ
- (包み隠さずに言う、へつらわずに言う)
- 30.歯の抜けたよう
- (まばらで不揃いなさま、うつろなさまの形容)
- 31.歯の根が合わぬ
- (寒さや恐れのために、ふるえおののくさまにいう)
- 32.歯の根も食い合う
- (非常に親しい間柄である)
- 33.歯の根を鳴らす
- (歯を食いしばって怒る)
- 34.歯を噛む
- (歯を噛みしめて残念がる)
- 35.歯を食いしばる
- (無念・憤怒・苦痛などをこらえるさまにいう)
- 36.歯魔羅目【はーまらめ】
- (年をとるとこの三つが順に衰えることをいう)
- 37.明眸晧歯【めいぼうこうし】
- (澄んだひとみと白い歯と、美人の形容にいう)
- 38.病は口より入り禍は口より出ず
- (病気は飲食物からおこり、禍は言葉を慎まぬことから起こる)
2021年2月(歯科衛生士からひとこと)
コロナ禍でもひと工夫。職場や学校で歯みがきをしたい!
感染症予防対策
- 歯みがきをする時間帯が他人と重ならないように、ずらしましょう。
- 洗面所は換気をしましょう。
- 歯みがき時、私語はせずに口を閉じて磨きましょう。
- 口をお水でゆすぐ時は少量の水を含み、低い位置でゆっくり吐き出し、水を流しましょう。
- 歯ブラシやコップは使用後洗い、自宅に帰ってからも再度洗いよく乾燥させましょう。
お口を清潔にすることは、色々な感染症予防のひとつです。
ただし、歯みがきをする場所によっては上記のような感染症予防対策が難しい場合もあるので、自宅で1日2回はしっかりと歯みがきをし、その他の方法としてキシリトールガムやキシリトールタブレットを上手に摂取し、むし歯予防に努めましょう。
キシリトールとは
樹木のシラカバ・カシの樹液から採れる天然の甘味料です。
また私たちが普段食べている野菜や果物にも含まれている身近な甘味料です。
キシリトールはむし歯菌(ミュータンス菌)の活動を弱め、歯の再石灰化を促すことでむし歯を予防します。
キシリトールの含有量が多い製品を選びましょう。(キシリトール50から100%) キシリトール配合であっても砂糖・水あめ等の糖類が一緒に含まれている製品はむし歯予防の効果が無くなるので、注意が必要です。
2020年12月(歯科衛生士からひとこと)
「抜けた乳歯、どうしますか?」
子どもの頃、乳歯が抜けたらどうしていましたか?日本では、上の歯が抜けたら縁の下、下の歯が抜けたら屋根に向かって投げる風習があり、私も小さい頃、抜けた乳歯を屋根に投げた記憶があります。
ではこの風習、世界ではどうなのでしょうか?
- アメリカ
- 抜けた歯を枕の下に置いて寝ると「Tooth Fairy」(歯の妖精)が集めに来て、コインを置いていく。
(ちなみにドイツなどの欧州諸国でも同じような風習があり、スペイン語圏では妖精ではなくネズミになるそうです。) - 韓国
- 上下どちらの歯も屋根に投げ、カラスが新しい歯を持ってくる。
- 中国
- 上の歯はベッドや布団の下に入れ、下の歯は屋根に投げる。
- マレーシア
- 上下どちらも地面に埋めて土に還す。
- フィリピン
- 秘密の場所に隠して願い事を1つし、1年後にその場所で歯を見つけることができたら、もう1つ願い事ができる。
- インド
- 上下どちらも屋根に投げ、スズメに新しい歯を持ってきてくれるようお願いする。
どの国においても、「将来強くて健康な歯がはえてきますように…」という想いは共通しているようです。
日本ではマンションが普及し、投げたくても屋根はないし、埋めたくても縁の下がない状況が増えました。そのため最近ではとてもおしゃれでかわいいデザインのトゥースケースをたくさんみかけるようになりました。子どもの成長の記念としてとっておくご両親が増えているということですね。
乳歯は(個人差はありますが)5から6歳ごろからはえかわります。昔からの慣習に倣って屋根に投げたり埋めたりするのもいいですし、大切な思い出として、トゥースケースに保管しておくのもいいですね。
2020年10月(歯科医師からひとこと)
「食育」を取り巻く環境の変化
あらゆる分野で、新型コロナウイルス感染症への対応を行っているうちに、私たちの「食育」を取り巻く環境も大きく変化してきました。
街で、食事の宅配サービスのために走っている自転車を見かけると、「どんなに美味しいものを運んでいるのだろう」と時にワクワクします。また、新たにテイクアウトの販売を始めた飲食店も増えてきました。外食をする場合でも、感染対策がしっかりとられている飲食店に入ると、これも「食の安心・安全」のうちの一つなのだと感じます。
こうした社会環境の変化を、食生活における選択の幅の拡がりと捉えれば、今こそまさに「食育」について意識すべき時かもしれません。
名古屋市食育推進計画(第3次)の基本コンセプトは、【「わ」 による健全な食生活の実践】です。健全な食生活の実践には、健康なからだをつくる調和(バランス)のとれた食事を表す「和」、家族や友人と一緒に輪になって食卓を囲む楽しい食事を表す「輪」、食の循環や環境に配慮した食生活を表す「環」の、3つの「わ」が大切です。
いわゆる三密を避けて、輪になって食事を楽しむ頻度が減ってしまう時代であっても、感染対策のとられた飲食店での外食や、テイクアウトもバランスよく組み合わせて、調和のとれた健康的な食生活を続けていきたいものです。
2020年8月(歯科衛生士からひとこと)
「正しい舌の位置」知っていますか?
突然ですが質問です。あなたの舌は、どこにあたっていますか?
- 舌が上あご全体にあたっている
- 舌が上の前歯の裏側にあたっている
- 舌が下の前歯の裏側にあたっている
理想的な答えは1の舌が上あご全体にあたっている です!
そうではない方は“舌の姿勢が悪い”状態です。今から一緒に舌について学んでみましょう。
舌が上あご全体にあたっていると…
- 飲み込みやすくなる
食べものなどを飲み込むときには、舌を上あごにしっかり押し付ける必要があります。
(舌を上あごにつけないようにして唾液を飲み込んでみましょう。難しいですよね。) - 上あごが成長し歯ならびがキレイになる
歯は唇、舌、頬の筋肉から均等に力が加えられることでキレイにならびます。 - 風邪をひきにくくなる
口呼吸を改善し、細菌やウイルスが直接喉に入ることを防ぎます。
などなど、他にも良いことはたくさんあります。
今日から始めるトレーニング方法
- まずは、意識することが大切
姿勢が悪い方が、姿勢を良くするためには気が付いたら直すことが必要ですよね。舌も同様で、正しい位置に舌を置くことを意識してみましょう。 - 舌のストレッチ
1から4をそれぞれ5回ずつ行ってみましょう。食事の前、入浴中など習慣づけて行うと効果的です。
- 1.舌を出したり引っ込めたりする
- 2.口の両端をなめる
- 3.鼻の頭をなめるように上へ動かす
- 4.口を閉じた状態で舌で左右の頬を押す
2020年6月(歯科衛生士からひとこと)
フッ化物配合歯みがき剤の効果的な使い方
お使いの歯みがき剤の成分表示を見てみると、「フッ化ナトリウム」や「モノフルオロリン酸ナトリウム」といった成分が記載されていますか? それがいわゆる「フッ素(フッ化物)」であり、現在市販されている歯みがき剤の90%以上に配合されています。
フッ化物には、歯の質を強くする、むし歯菌の活動を抑えるなどの効果があり、フッ化物配合歯みがき剤は、子どもから高齢者までどの世代でも家庭で簡単に取り入れられるむし歯予防法です。ポイントをおさえて使用することで、より効果的にむし歯を防ぐことができます。効果的な使い方を紹介するので、ぜひ今日の歯みがきから参考にしてみてください。
- ポイント(1)
- 適切なフッ化物濃度の歯みがき剤を、適切な量使用しましょう。
濃度が低すぎたり、量が少なすぎたりするとフッ化物の効果が十分に発揮されません。
年齢 | 使用量 | 歯みがき剤のフッ化物濃度 |
---|---|---|
歯の萌出から2歳 | 切った爪程度の少量 | 500ppm(泡状歯みがき剤なら1,000ppm) |
3歳から5歳 | 5mm以下 (グリーンピース大) |
500ppm(泡状またはモノフルオロリン酸 配合歯みがき剤ならば1,000ppm) |
6歳から14歳 | 1cm程度 | 1,000ppm |
15歳以上 | 2cm程度 | 1,000ppmから1,500ppm |
- ポイント(2)
- みがく前に歯みがき剤を全体に塗り広げましょう。
フッ化物がお口全体に行き渡るようにします。 - ポイント(3)
- 十分に泡立ちを保ちながら2から3分みがきましょう。
- ポイント(4)
- お口の中の歯みがき剤を吐き出し、うがいをします。
うがいは少量の水(10から15ml)で1回程度にしましょう。
お口の中にできるだけフッ化物を残すことが大切です。 - ポイント(5)
- 歯みがき後は1から2時間飲食を控えましょう。
※高濃度(1,500ppm)のフッ化物配合歯みがき剤は、6歳未満の子どもへの使用を控えてください。
2020年4月(歯科医師からひとこと)
オーラルフレイル
「オーラルフレイル」という言葉を耳にしたことがありますか?
オーラルフレイルとは、滑舌の低下や食べこぼし、飲食時の「むせ」など、ほんのささいなお口の衰えをきっかけにお口の機能が低下し、食べる機能の障害へと進む現象を指し、これが、体力・筋力の低下を招き、全身のフレイル(虚弱)につながるという新たな概念です。
簡単に言えば、「ちょっとした口の衰えをそのまま放置すると危険ですよ!」「口の衰えが原因で体力や筋力の低下を起こしますよ!」ということです。
栄養を十分摂取するとともにおいしく食事を楽しむには、とにかく“食べられるお口を維持すること”が非常に重要です。
その為には、むし歯・歯周病の予防などの「歯の喪失予防(歯を残すこと)」と同時に、かみ砕く(咀嚼)、飲み込む(嚥下)といったお口の機能を衰えさせない“口腔機能維持”の両輪で取り組んでいく必要があります。
日頃からかかりつけ歯科医院を持ち、定期的な歯科検診を心がけるほか、お口の周りの筋肉をよく動かす早口言葉やマッサージ等の取り組みを行うなど、お口の健康維持に努めましょう。
2020年2月(歯科衛生士からひとこと)
口元に注目してみましょう
日常的にお口がぽかんと開いていることはありませんか。
お口を閉じることは、食べ物を口に取り込むとき、噛んで飲み込むとき、発音するとき、いずれにおいても必要です。お口がぽかんと開いている状態では、口周りの筋力の低下(口唇閉鎖不全)や口呼吸が習慣になっていることがあります。
お口が日常的に開いていると、口呼吸により口の中が乾燥し、むし歯や歯周疾患になりやすくなります。また、口周りの筋力が低下することで歯並びに影響を及ぼすこともあります。
お口がぽかんと開いてしまう原因としては、鼻炎などの鼻の疾患や口腔習癖などがあります。鼻の疾患が原因で鼻呼吸が難しい場合は、耳鼻科を受診しましょう。そのほかに、しゃぼん玉などの口を使う遊びを取り入れ、口を閉じる筋力をつけましょう。
- 唇を使う
- シャボン玉をする、ラッパのおもちゃを吹く、ストローで吸う・吹く(細いのがオススメ)
- 舌を使う
- あっかんべーをする
- 口の周りをすべて使う
- 顔じゃんけん(グー・チョキ・パー)をする、ぶくぶくうがいをする
- 歯みがきも頬や口周りの刺激になるよ!
名古屋市リーフレット「よくかめるお口の育て方」参照